情報を片側の側波帯のみで伝送するもの。短波帯の業務無線やアマチュア無線などで利用される。 搬送波よりも上の周波数の側波帯を使うものをUSB(Upper Sideband)、下を使うものをLSB(Lower Sideband)という。アマチュア無線を除いては、原則としてUSBを使用する。アマチュア無線では、7MHz帯以下ではLSB、10MHz帯以上ではUSBを使う慣習になっている。 SSBはエネルギー効率がよく、同じ距離までの通信であれば少ない電力の送信機で、またフェージングの影響を受けにくく、同時に占有周波数帯域が狭くて済む。なお、側波帯だけに着目すれば、AM放送もSSBも同じものであるため、隣接大出力局の混信をかわすために、SSB受信機で混信が無い方の側波帯だけを取り出し、AM放送を聴くことも可能である(上部または下部側波帯と搬送波さえあれば内容が分かる。同期検波も参照)。アマチュア無線家やBCLが偶然気付くことも多く、AM放送の受信テクニックとして使われている。 一方、SSBの音声通信は一般に音質が悪く、また、良好な了解度を得るためには受信周波数を数10Hzの単位で調整しなければならない。音質が悪いと言われるのは次の理由によるもので、SSBそのものが音質が悪いというのは誤解である。 占有周波数帯域が狭いという利点を生かすため、伝送帯域を狭く設定している。 数MHzの中間周波数において、数100Hz離れた側波帯の片側だけを消去するような特性が非常にシビアなフィルタ回路が要求されるため、M&A や位相などについて良好な特性を持つフィルタ回路を作ることが困難である。 抑圧搬送波には搬送波の情報が含まれていないので、送信信号と等しいスペクトルを持つ受信信号を得ることは困難である。最終的には、原音と同じ音質になるよう、人間の勘で周波数を合わせることになる。 振幅変調の復調にはAGC(自動利得調整)を使うことが多いが、搬送波が無いためAGCの基準になるべきものがなく、例えば音声通信の場合は、音声のエンベロープを基準にAGCが動作する。そのため、大きな声も小さな声も同じ大きさの声になるほか、無音時は受信ゲインが最大となり、耳障りな雑音が出力される。 変調に使う搬送波と復調に使う搬送波が異なるため、搬送波のC/Nが悪いと(残留FM成分が多いと)瞬時的に搬送周波数が変動することとなり、復調音声の品質が損なわれる。 SSBは、FMのようにチャネルで区切って隣接チャネルとの間に住宅ローン なガードバンドを設けて使うということをしないため、隣接した周波数で行われる通信が雑音となって可聴周波数に落ち込んできて、耳障りとなる。 USB、LSBそれぞれの側波帯を左右の音声信号としたものがカーン方式AMステレオである。 両立性直交振幅変調(モトローラ方式AMステレオ C-QUAM; Compatible Quadrature Amplitude Modulation) 和信号により搬送波を平衡変調した信号と、差信号に25Hzのパイロット信号を加えた信号で直交する搬送波を平衡変調した信号とを合成し、振幅制限したものを搬送波として、和信号で振幅変調するもの。日本のAMステレオ方式として用いられている。 直流成分まで送信できるように情報のない側波帯の一部まで送信する方式。アナログテレビ放送の映像信号の伝送に用いられる。 AMラジオ放送においては、送信する音声の波形を包絡線に持つような、一定周期(中波帯の放送なら500〜1600KHz程度)の電波を送信する。受信機では送信された電波を共振回路によって取り出し(選局し)、包絡線検波等のAM復調を行って音声波形を再現する。 無線電信の多くは単に搬送波のオン、オフを断続して送信するため、搬送波の振幅を変化させるという意味で振幅変調に分類することがある(振幅偏移変調)。側波帯は使用しない。受信機では送信された電波を共振回路によって取り出し(選局し)、うなりの周波数が人の耳に敏感な700〜800Hz程度になるような局部発振周波(BFO:Beat Frequency Oscillator)を作り、混合させて復調を行って信号波形(700〜800Hz程度の正弦波)を再現する。 データ通信においては周波数変調による電信も用いられている(周波数偏移変調)。 変調度の値が大きいほど信号波の振幅が大きくなり効率の良い通信となる。ただし100%を超える状態を過変調といい、復調信号の波形が歪み、占有帯域幅が増加して他の通信に妨害を与えるので、放送では変調度の最大値が厳しく規定されている。 周波数変調では、情報を表す信号電圧によって搬送波の周波数を上下に変移させる。結果として、搬送波の疎密によって信号が表されることになる。図の例では、信号電圧最大で搬送波周波数を最も高く、最低で周波数を最も低くなるようにしているが、信号の変化方向と周波数の変化方法は逆でも良い。搬送波の周波数が無変調時から信号によって変化した変化分を周波数偏移という。 原理的には発振周波数を電圧で制御できる発振器、すなわち電圧制御発振器 (VCO)の制御電圧に変調信号を加えることによりFM変調波が得られる。復調は、共振回路のスロープ特性を利用した周波数弁別器(ディスクリミネータ)が用いられることが多い。他に、受信信号をPLL回路の比較入力信号として入力し、PLL回路内のVCO制御電圧の変化を復調出力とする方法もある。→変調方式・復調方式 FMは、単に発振器の周波数を変化させるだけなので、消費者金融 の変動がない。つまり、常に最大電力であり電力が弱くなる瞬間がない。また、受信はAGCを使わないでリミッタで飽和増幅するため、振幅成分は完全に失われる。これらの理由により、同一の搬送波周波数の強い信号を受信した場合、弱い信号は強い信号によって隠されてしまう(マスキング)ため、存在が確認できなくなる。これを弱肉強食特性と言う(地上の管制と上空の飛行機との間で通信する航空無線でAMが使われるのは、この現象を回避するためといわれている)。もちろん、正式な技術用語ではないが、電波関係の技術者やアマチュア無線家の間で広く知られている用語であるので、特に記す。 航空無線の場合はさておき、一般の無線通信では、通信中に被ってくる弱い信号は有害な混信と見なされるので、完全に排除できることが望ましい。FM受信機では、コチャンネル特性(cochannel selectivity:同一チャネル選択度)という指標で、一定以上の排除能力が求められることが多い。 ステレオ放送において重要なことは、既存の放送で既にモノラル放送が存在する場合、従来方式との互換性を保たなければならないということである。そこで和差方式が一般的に用いられる。これは、主信号を左右の和であるL+R信号とし、副信号としては可聴周波数よりも十分に高く設定した副搬送波を差信号のL-R信号で変調して副信号とする。この主信号と副信号とを合成したコンポジット信号で放送の搬送波を変調する。モノラルの受信機しか有さない場合、主信号のL+R信号のみを再生すれば左右の偏らない放送を聞くことができる。これにより、従来方式との間で互換性を保つことができる。ステレオを再生する場合、主信号のL+Rと副信号のL-Rの両方を再生した後、それぞれの和と差を取れば、(L+R)+(L-R)=2L、(L+R)-(L-R)=2R、となり、左右の信号が再生される。FMステレオ放送の場合、副搬送波を振幅変調するか周波数変調するかにより方式が異なってくる。 右・左の差信号で38kHzの副搬送波を平衡変調して副信号とする。その信号と19kHzのパイロット信号とを右・左の和信号に多重して放送の搬送波を変調する。ステレオを再生する場合は副信号を分離してL-R信号を再生し、主信号のL+R信号との間で和差を取ることにより、左右を分離する。このようにすることで、FMステレオ受信機を用いればステレオを聞くことができ、ステレオに対応していないFM受信機では、右・左の和であるモノラル音声のみを再生するので互換性が保たれる。日本におけるFMステレオラジオ放送方式として用いられている。 スイッチング方式 38kHzのスイッチング信号により、左右のCFD を切り替えてコンポジット信号を生成する。再生する場合はこの逆で、コンポジット信号を38kHzのスイッチング信号で同期を取って左右に分離する。原理上は同期検波と同じである。ここで、スイッチング方式により得たコンポジット信号を分析すると、L+Rの信号と、L-Rの包絡線で38kHzを変調したDSB波との合成であることがわかる。したがって、スイッチング方式で変調したコンポジット信号は和差方式でも再生することができる。また、和差方式によりコンポジット信号を生成する際に、副信号を特定のレベルに合わせればスイッチング方式のコンポジット信号と等価な信号が得られる。したがって和差方式で変調したコンポジット信号をスイッチング方式で再生することも可能になる。実際にはスイッチング方式の回路の方が構成が簡単なため、FMステレオの再生はスイッチング方式またはスイッチング方式に準じる同期検波が使われる。 第二音声または差信号で副搬送波を周波数変調した信号とパイロット信号とを主信号または和信号に多重して周波数変調するもので、日本におけるテレビの音声多重放送(二か国語音声・ステレオ音声)方式として用いられている。ステレオの再生方法は和差方式である。