日本政府は平成16年版少子化社会白書において「合計特殊出生率が人口置き換え水準をはるかに下まわり、かつ、子供の数[13]が高齢者人口(65歳以上人口)よりも少なくなった社会」を「少子社会」と定義している。日本は1997年に少子社会となった。日本の人口置換水準は2.08と推計されているが、日本の出生率は1974年以降2.08を下回っており、日本の総人口は2005年に戦後初めて自然減少した[14]。 日本の少子化の原因 晩産化、無産化が少子化の主な直接原因である。日本では婚外子を忌避する文化が強く、社会制度などの面でも不利があるため、未婚化・晩婚化の進展が少子化に強く影響している。また、結婚した場合も経済的理由により子供が生まれたときの十分な養育費が確保できる見通しがたたないと考え、出産を控える傾向がある。 企業による派遣労働の採用など、雇用形態が流動的になり将来の生活に展望がもてない場合が多くなっており、結婚や出産を諦めざるを得ないケースが増加している。特に登録型派遣の場合、法律上は育児休業の権利があっても実際には契約が解除されるなどして取得できないことが多いため、育休取得率は3割にとどまっており、正社員なら通常受けられる公的給付金が受けられないケースもある[15]。仮に育児休業を取得できたとしても元の職場には復帰できないのが通例であり、保育園への入園選考で、派遣先が決まっていないとして正社員に比べて不利に取り扱われるため出産後の職場復帰のハードルが高いといったことも出産を躊躇する原因となっている。労働政策研究・研修機構の2005年のレポートによれば、男性は正社員であれば結婚率が高く、また収入が高いほど結婚率が高くなる。女性については、収入と結婚率との間に明確な差は現れてはいない。 子育てにかかる費用が高いことも要因として指摘されている。国民生活白書によれば子供一人に対し1300万円の養育費がかかるという。但しこの数値は基本的な生活費によるもので、高校や大学への進学費を含めると最低2,100万円はかかるという。経済産業研究所の藤原美貴子は日本人官僚に対するセミナーで「今の日本において、子育ては非常に高くつきます。ですから、子供を作るか、夏用の別荘を買うか、最新モデルのベンツを買うか、という選択を迫られているようなものです。」と説明している[16]。 その他の要因として、戦後の核家族化[17]・女性の専業主婦化[3]や、産婦人科医・小児科医の不足(→出産難民参照)、治安に対する不安の高まりなどが指摘されている。 低所得者層の増加による影響 配偶者および子供がいる者の割合(%) 所得\年齢 20?24歳 25?29歳 30?34歳 35?39歳 ?99万円 0.7 0.6 10.8 12.8 100?199万円 2.3 7.9 19.1 30.0 200?299万円 4.2 11.4 25.2 37.9 300?499万円 7.8 18.9 37.8 51.1 500?699万円 8.2 28.9 50.5 62.4 700万円? 10.3 27.1 52.0 70.7 中小企業庁は「配偶者や子供がいる割合」は概ね所得の高い層に多く、所得が低くなるに従って未婚率が高くなるという傾向があり、低収入のフリーターの増加は、結婚率、出生率の低下を招く」と分析している。 女性の社会的地位向上による影響 「男女雇用機会均等法の施行等、女性の社会進出により出生率が低下した」という意見があるが、出生率と女性が働いている割合には正の相関があり、働いていない人が多い都会よりも共働きの多い田舎の方が出生率が高い。したがって「女性の社会進出により出生率が低下した」という意見は実情と齟齬がある[3]。 年代と少子化 厚生労働省の人口動態統計によると、1980年以降20代の出生率は低下し、30代の出生率は上昇しているが、全体の出生率は下がり続けている。1980年以降、未婚率、平均初婚年齢、初産時平均年齢は上昇している。1950年代生まれの世代までは、完結出生児数は2.2人前後と安定した水準を維持していたが、1990年前後に結婚した1960年代生まれの夫婦からは年齢に対する出生児数の低下がみられる。 第12回出生動向基本調査(2002年)によると、結婚持続期間が0〜4年の夫婦の平均理想子供数と平均予定子供数は上の世代より減少しており、少子化の加速が懸念される。 地域特性と少子化 厚生労働省の1998年から2002年までの人口動態統計によると、市区町村別の合計特殊出生率は渋谷区が最低の 0.75 であり、最高は沖縄県多良間村の 3.14 であった。少子化傾向は都市部に顕著で、2004年7月の「平成15年人口動態統計(概数)」によれば、最も合計特殊出生率が低い東京都は全国で初めて 1.00 を下回った(発表された数字は 0.9987 で、切り上げると1.00となる)。一方、出生率の上位10町村はいずれも島(島嶼部)であった。 首都圏(1都3県)については、20-39歳の女性の約3割が集中しているにもかかわらず、出生率は低く「次の世代の再生産に失敗している」[3]より引用。そのため、「都市圏の出生率が低くても地方から人を集めればいいという安易な発想は、日本全体の少子化を加速させ、経済を縮小させる」との指摘がある[3]。 日本政府は出生力回復を目指す施策を推進する一方、少子高齢化社会に対応した社会保障制度の改正と経済政策の研究に取り組んでいる。 出生力回復を目指す施策 1980年代以降、政府・財界では高齢者の増加による社会保障費の増大や、労働人口の減少により社会の活力が低下することへの懸念などから抜本的な対策を講じるべきだとの論議が次第に活発化した。 政府は1995年度から本格的な少子化対策に着手し、育児休業制度の整備、傷病児の看護休暇制度の普及促進、外国為替証拠金取引 の充実などの子育て支援や、乳幼児や妊婦への保健サービスの強化を進めてきた。しかし政府の対策は十分な効果を上げられず、2002年の合計特殊出生率は 1.29 へ低下し、第二次世界大戦後初めて 1.2 台に落ち込んだ。 出生率低下の主要因は高学歴化・長時間労働・未婚化・晩婚化・企業による派遣制度などの雇用状態の変化による時間外勤務手当等、諸手当のカットや低賃金と言われているが、結婚への政府介入には否定的な声が大きい。また日本では婚姻外で子をもうけることへの抵抗感も根強く、また男女間の給与体系格差が大きいため、女性一人では子供を育てにくい環境にある。そのため少子化対策は主に既婚者を対象とせざるをえない状況にある。また長時間労働は自己の力で解決は難しいため何らかの対策が求められる。 2003年7月23日、超党派の国会議員により少子化社会対策基本法が成立し、9月に施行された。衆議院での審議過程で「女性の自己決定権の考えに逆行する」との批判を受け、前文に「結婚や出産は個人の決定に基づく」の一文が盛り込まれた。基本法は少子化社会に対応する基本理念や国、地方公共団体の責務を明確にした上で、安心して子供を生み、育てることのできる環境を整えるとしている。 2003年、政府は次世代育成支援対策推進法を成立・公布し、出産・育児環境の整備を進めている。 1997年、政府は健康保険法を改正、2000年に再改正し、患者負担、高額療養費、保険料率を見直した。少子高齢化は今後も進展するため、厚生労働省では医療制度改革の検討が続いている[18]。 2000年、経済企画庁は「人口減少下の経済に関する研究会」を催し、女性・高齢者の就職率の上昇および生産性の上昇によって少子化のマイナス面を補い、1人あたりでも社会全体でもGDPを増大させ生活を改善していくことは十分に可能、との中間報告を公表した[19]。 2004年、政府は年金制度を改正し、持続可能性の向上、多様な価値観への対応、制度への信頼確保を図った[20]。しかし「現役世代に対する給付水準 50% の維持」の前提となる出生率 1.39 を現実の出生率が下回るなど、国民の不安は払拭されていない。 少子化対策は「出生力低下の要因への対応」と「少子化の影響への対応」の大きく2つに分けられ、いずれを重視し政策的に優先すべきかによって、基本的な少子化への姿勢が異なっている。 少子化には多くのデメリットがあり、投資信託 なしにそれらを回避することはできない。 日本の生産年齢人口は1995年に8717万人となり、以後減少している。女性や高齢者の就労率上昇が続いたにもかかわらず、労働力人口も1998年にピーク(6793万人)を迎え、以後減少傾向にある。このまま少子化が続けば深刻な労働力人口のさらなる減少が生じ、経済活動の停滞と生活水準の低下が予想される。 生産年齢人口(15?64歳)に対する高齢人口(65歳以上)の比率の上昇が年金などの社会保障体制の維持を困難にする。 ゲーム、漫画、音楽CDなど若者向けの商品、サービスが売れなくなる[21]。現に少年向けの漫画雑誌の発行部数は1990年代半ばをピークに減少し、音楽CDの販売数量も1990年代後半にピークアウトした。世代別消費動向を見ると、この先いずれは住宅や耐久消費財の需要の抜本的減少も容易に予想できる。 出生力は政府の施策しだいで回復を期待できる。少子化の緩和・解消こそ喫緊の課題である。2006年2月ぐらいから出生数が多少増加する傾向が見られる。 景気回復および仕事と育児の両立支援により労働人口を微減に留め、生産性の上昇によって資産運用 を増大させ続けることは可能である。実際に東欧・旧ソ連では人口減少下の経済成長を実現し、社会全体でも1人あたりでもGDPを増大させた国が少なくない。 高齢人口の増大は年少人口の減少に相殺され、生産人口と総人口の比率は安定的である。高齢者の雇用増大や制度の再設計により、社会保障体制の持続は可能だ。 離乳食やおむつなどベビー用品業界の売上は伸びており、商品の高付加価値化や新たな需要の掘り起こしにより若者向け産業は発展を続けられる。 少子化の政策的解消は困難であり、少子化に対応した社会の再構築こそ重要であるとする。