以上により、『国家全体での社会保障費負担が高齢者数の増加によってどのように増加しているのか』『国家全体での社会保障費負担の増加をどのように予算を組み替えることによって解決すべきなのか』というような大局的問題を解決しようとする場合には、「少子高齢化」「高齢化率」という言葉の使用はかえって問題の本質を見誤らせる危険性があるということが分かる[1]。 例えば、安倍晋三内閣の柳澤伯夫厚労相が、その講演の際に国家予算に占める社会保障費の増大という問題を論じようとしたが『高齢者数の増加によって、国家全体の予算における社会保障費の割合が増加せざるを得なくなっているだけ』という視点からではなく『少子高齢化が進み高齢化率が上昇すると国民一人あたりの負担がどんどん増大して行く』という視点から論じ、結果的に「産む装置・機械(=女性)の数は決まってしまっているから、あとは一人頭で頑張って貰いたい」と個人の自由・尊厳を侵害しかねない失言をすることになった。この発言は同時に、本来政治家たちが行うべき少子化対策を、単に女性が子供を産まないことによるとするものであるとされ、先の発言とあわせて無責任かつ本末転倒であると非難された。 日本の少子高齢化の原因は、出生数が減り、一方で、平均寿命が延びて高齢者が増えているためである。日本の人口構成を人口ピラミッドで見ると、第1次ベビーブームの1947年〜1949年(昭和22〜24年)生まれと第2次ベビーブームの1971年〜1974年(昭和46年〜49年)生まれの2つの世代に膨らみがあり、出生数の減少で若い世代の裾が狭まっている。また、第1次ベビーブームの人達が、もうすぐ高齢者の仲間入りをするため高齢化は進展する。 2005年と比べると、2020年には総人口は1割ほどしか減らないのに対し、70歳以上の高齢者はほぼ倍に増え、社会的負担は急増する[1]。 総務省が発表した2008年9月15日の推計人口によると、70歳以上の人口は前年より57万人多い2017万人となり、2000万人の大台を超え過去最高を更新した。 「首都圏と比べると地方圏は若者が流出し、FX 数が増加する」という認識は誤りであり、高齢者の増加は首都圏の方が深刻な問題となる。 認識を誤る要因は、「現在高齢者が多いところ」と、「将来高齢者になる人(団塊の世代)が多いところ」を混同してしまうこと、高齢化率の錯覚(若者がいくら流入してこようと高齢者の絶対数は増える)による[1]。 2000年と2015年の予測値を都道府県別に比較すると、埼玉県は高齢者数が約2倍となり、千葉、神奈川、愛知、大阪がそれに続く。これは、単純に福祉にかかる費用が2000年の倍近くに膨らむことを意味する。 地方圏については、絶対的な高齢者数の増加は避けられないこと、また、若年層が首都圏に流出するために、働き手一人当たりの負担が問題になる。ただし、この問題は首都圏も例外ではない。若年層が流入する東京都でも、働き手と高齢者との比率は、2000年時点での秋田県と同水準となる[1]。 平均余命とは、一定期間の(例えば1年間)における各歳のごとの死亡率が今後とも同じと仮定して、ある年齢の人が平均して後何年生きるかを表したものであり、特にゼロ歳の平均余命を平均寿命という。 平均寿命の延びの主な要因としては、乳幼児死亡率の低下、抗生物質による結核の死亡率の低下、公衆衛生の普及により生活環境が整備され伝染病による死亡率の低下、などである。また、最近の平均寿命の延びに大きく寄与しているのは、成人病、特に脳血管疾患の減少による中高年層の死亡率の改善である。 最新の生命表である「平成17(2005)年完全生命表」によると、平均寿命(0歳における平均余命)は、男78.56年、女85.52年で、前回(平成12年)の完全生命表と比較して、男は0.84年、女は0.92年上回った。 平均寿命の年次推移をみると、第二次世界大戦前は50年を下回っていたが、日経225 の1947年(昭和22年)の第8回生命表の平均寿命は男50.06年、女53.96年と50年を上回った。その後、約60年経過し、男は28.50年、女は31.56年延びている。65歳における平均余命は、男18.13年、女23.19年となっており、平均余命の年次推移をみると各年齢とも回を追うごとに延びている。[編集] 三大死因 「平成18年 人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、2006年(平成18年)の死因順位別死亡数と全死亡者に占める割合は以下のとおりである。 悪性新生物は、一貫して上昇を続け、昭和56 年以降死因順位第1位となり、平成18年の全死亡者に占める割合は30.4%となっている。全死亡者のおよそ3人に1人は悪性新生物で死亡したことになる。心疾患は、昭和60年に脳血管疾患にかわり第2位となり、その後も死亡数・死亡率ともに上昇傾向を示している。脳血管疾患は、昭和26年に結核にかわって第1位となったが、45年をピークに低下しはじめ、56年には悪性新生物にかわり第2位に、更に、60年には心疾患にかわり第3位となりその後も死亡数・死亡率ともに低下を続けた。 近年は、インフルエンザの流行の度合いにより高齢者の死亡者数(肺炎が原因)が変化し、その結果が平均寿命や平均余命の延びに反映している。 「平成17(2005)年完全生命表」によると、主要国の平均寿命は以下のとおりである。 「2006年(平成18年)10月1日現在推計人口」によると、年齢3区分別の人口は、年少人口(0〜14歳)は1743万5千人で前年に比べ15万人の減少、生産年齢人口(15〜64歳)は8373万1千人で69万1千人の減少となっているのに対し、老年人口(65歳以上)は2660万4千人で84万3千人の増加となった。 総人口に占める割合は、年少人口が13.6%、生産年齢人口が65.5%、老年人口が20.8%となり、前年に比べ、年少人口が0.2ポイント、生産年齢人口が0.6ポイントそれぞれ低下し、老年人口が0.6ポイント上昇している。 総人口に占める割合の推移は、年少人口は、昭和50年(24.3%)から一貫して低下を続け、平成18年(13.6%)は過去最低となっている。生産年齢人口は、昭和57年(67.5%)から上昇を続けていたが、平成4年(69.8%)をピークに低下している。一方、老年人口は、昭和25年(4.9%)以降上昇が続いており,平成18年(20.8%)は過去最高となっている。 1935年(昭和10)の高齢化率が4.7%と外為 であった。1950〜1975年は出生率低下によって、それ以降は、死亡率の改善により高齢化率が上昇した。先進諸国の高齢化率を比較してみると、日本は1980年代までは下位、90年代にはほぼ中位であったが、2008年(平成20年)には22.0%となり、世界に類を見ない水準に到達している。 また、高齢化の速度について、高齢化率が7%を超えてからその倍の14%に達するまでの所要年数(倍化年数)によって比較すると、フランスが115年、スウェーデンが85年、比較的短いドイツが40年、イギリスが47年であるのに対し、日本は、1970(昭和45)年に7%を超えると、その24年後の1994(平成6)年には14%に達している。さらに総務省は2007年11月1日の推計人口において、75歳以上の総人口に占める割合が10%を超えたことを発表した。このように、日本の高齢化は、世界に例をみない速度で進行している。 「平成18年 人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、平成18年の合計特殊出生率は1.32で、前年の1.26を上回った。昭和40年代は、第2次ベビーブーム期(昭和46〜49年)を含め、ほぼ2.1台で推移していたが、50年に2.00を下回ってから低下傾向となり、平成18年は6年ぶりに上昇し、平成14年と同率となった。 年齢(5歳階級)別に内訳をみると、低下を続けていた20歳代が上昇に転じ、前年低下に転じた30〜34歳が再び上昇したため、15〜19歳と45〜49歳を除く各年齢階級で上昇した。この結果、平成17年に続き、30〜34歳が25〜29歳を上回り、平成18年は新たに35〜39歳が20〜24歳を上回り、40〜44歳が15〜19歳を上回った。